雑感

今日も今日とて何もできず。 フーコー『自己のテクノロジー』、岩波モダンクラシックス、1999年。 慎改康之、「欲望か快楽か」 こちらは授業準備のつづき。 〈誤謬〉論―カント『純粋理性批判』への感性論的アプローチ作者: 岩城見一出版社/メーカー: 萌書房…

雑感

授業準備に追われ、追われ、まったく博論が進みません。とりあえず、日々の記録を付けておこうと思います。 モード・マノーニ、『反-精神医学と精神分析』、松本雅彦訳、1974年。 阪大の講義(あと二回)では、拒食症を含む精神疾患を、いかに精神医学的、…

ドイツ観念論とは何か: カント、フィヒテ、ヘルダーリンを中心として (ちくま学芸文庫)作者: 久保陽一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/12/10メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る 新編 分裂病の現象学 (ちくま学芸文庫)作…

ニーチェとガダマー、ニーチェとドゥルーズ、系譜学と地質学

今日はENSへ、エラスムス・ムンドゥスの研究会(「ニーチェとの対話」)に顔を出す。午後から出席したのだが、午前中の発表が残っていたらしく、急にSebastian Pilz氏という方のドイツ語の発表がはじまって驚いた。そして、日本に何度も来られているアルノー…

またまた、ソルボンヌ付近のGibert Josephにて。 Ferdinand Alquié, La découverte métaphysique de l'homme chez Descartes, puf, 2011(1950). 帰国してから後悔しないよう、とりあえず。 Paul Klee, Théorie de l'art moderne, folio essais, 2011(1998). …

ウーノ、ポステュマン。

今日はパリ8、Pierre Cassou-Noguès氏のゼミへ。 文学や哲学は、機械(Machine)のイメージを非常によく多用する。そうしたイメージは科学や科学的思考にいかなる影響を与えうるのか。それはおそらく思考という語そのものが持つ観念(notions)を変容させる…

今日はパリ8のフレデリック・ランボー氏による「ドゥルーズと主観性」に関する講義へ。ドゥルーズにとって「主観性」(subjectivité)ないし「主体化」(subjectivation)の議論が重要であることは言わずもがなであるが、ランボー氏はそれを(1)政治、(…

パリもようやく暖かくなってきたなと、コインランドリーの洗濯中に近くのカフェで昼食。暖かいのでテラスに行くが、しばらくするとやはり寒い。なぜ皆さんこんな寒いなか何時間もおしゃべりできるのだろうかと感心する。エスプレッソダブルとクラブハウスサ…

今日は特に何もないため、blanche駅前のスタバに行ってみるが、尋常ではない人だかり。ここは、「ムーラン・ルージュ」前なので観光客でふくれあがっている模様。家で読書。 Gillez Deleuze, La philosophie critique de Kant. 序論、第一章読み直し。ドゥル…

パリにて購入

Jean-Clet Martin, Deleuze, Edition de l'eclat, 2012. コインランドリーの乾燥中、アベス通りにある観覧車の裏道で見つけた個人書店にて。店主(30歳くらい男性)はしきりに携帯で話しながら狭い店内をうろうろ。 Maurice Merleau-Ponty, OEuvres, Quatro …

一般に翻訳とは、ある言語によって書かれたものを母国語などの他なる言語によって移し換えることです。したがって、翻訳が成立するためには、翻訳される言語と翻訳された言語との間に差異がなければなりません。ここから、「翻訳とは何か」という問いがすぐ…

心身の合一―マールブランシュとビランとベルクソンにおける (ちくま学芸文庫)作者: モーリスメルロ=ポンティ,Maurice Merleau‐Ponty,滝浦静雄,中村文郎,砂原陽一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/12/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 12回この商品…

現代版言語起源論

心とことばの起源を探る (シリーズ 認知と文化 4)作者: マイケル・トマセロ,大堀壽夫,中澤恒子,西村義樹,本多啓出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2006/02/14メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブログ (27件) を見る 人間と他の類人猿…

超越、有限、感性=一般形而上学

カントと形而上学の問題 (ハイデッガー全集)作者: ハイデッガー,Martin Heidegger,Hartmut Buchner,門脇卓爾,ハルトムートブフナー出版社/メーカー: 創文社発売日: 2003/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (11件) を見る なぜ…

自己矛盾的自己統一

資本論の哲学 (平凡社ライブラリー)作者: 廣松渉出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/09/11メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 68回この商品を含むブログ (6件) を見る マルクスが『資本論』第一巻「商品論」で示したのは、直接生産過程…

とどきますか、とどきません。

勝手にふるえてろ作者: 綿矢りさ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/08/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 270回この商品を含むブログ (109件) を見る研究会の合間を縫ってジュンク堂新宿店で購入した『勝手にふるえてろ』を一気に読む。問いを立て…

転々と

BSで録画していた『転々』を見る。 ものすごく良い映画じゃないですか。中学生でも思いつくような馬鹿みたいな日本映画とってる暇があるなら、こういう映画にこそちゃんと資金を回すべきでしょう。監督は『時効警察』や『熱海の捜査官』の三木聡。キャストは…

マゾヒズム的共同体

ブックオフキャンペーン。 ジェンダー/セクシュアリティ (思考のフロンティア)作者: 田崎英明出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/09/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (25件) を見る 1400円☞750円☞300円著者自身が述べ…

印象派の絵画はそんなに接近して見てもなんだかわかりません

京都市美術館にて開催されていたボストン美術館展に行く。日曜かつ最終日ということもあり、尋常ではない人の量。個人的な印象としては、数年前のルーブル展の三分のニ程度の込み具合とはいえ、じっくり鑑賞するのは難しい。ピカソには世界がこう見えている…

自分のミーハーぶりを正当化してるだけですが、

いわゆるJ-POPと分類されるもので、比較的よく聞くものがある。それをあえて「歌謡曲」と呼んでいるのだが、そのうちのひとつである、RIP SLYMEの新譜のベストアルバムを最近聞いている。ちなみに言っておくと、僕が「歌謡曲」と呼んでいるのは、何か新奇で…

ちちんぷいぷい

また国営放送ネタ申し訳ないのだが、子供番組『シャキーン!』でフォーカスの「Focus Pocus(悪魔の呪文)」が流れてきてほっこりしたのを思い出した。

障害者か障がい者か

国語の授業をしていて「障害者」と黒板に書いたところ、ひとりの小学生に「今は「障がい者」が正しい表記だ」と指摘されて愕然となった。 もちろん「害」という字が与える印象の悪さによって不快感を被る人に対する配慮、それに対し、むしろ字を変えることそ…

ドゥルーズとアドルノ。

否定弁証法講義作者: アドルノ,細見和之,高安啓介,河原理出版社/メーカー: 作品社発売日: 2007/11/23メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (6件) を見る今回、この『否定弁証法講義』を読んでいて、途中からドゥルーズの『差異と反…

全体主義 (平凡社新書)作者: エンツォ・トラヴェルソ,柱本元彦出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/05/15メディア: 新書購入: 3人 クリック: 27回この商品を含むブログ (10件) を見る 全体主義とは、教科書的に言えば、「生命主義、権力主義、民族主義、ロ…

増田靖彦「思考と哲学―ドゥルーズとハイデガーにおける」(『ドゥルーズ/ガタリの現在』所収、平凡社、2008年、pp.513-536。) ※〔 〕は執筆者自身による挿入。 ドゥルーズの『差異と反復』が、「時代の雰囲気」であったハイデガーによる差異の哲学にその多…

「ヴァン・サン・カント」ではなく、ガス・ヴァン・サントでした。フランス語の聞き取り練習のためと、たまたまBSで見かけた"Paris,je t'aime"(2006)を見る。パリ20区のうち18区をそれぞれ舞台とした、複数の監督による短編フィルムのオムニバス映画である…

血が泣いてる。

八月の光 (新潮文庫)作者: フォークナー,加島祥造出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967/08メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 62回この商品を含むブログ (43件) を見る 友だちに強く勧められて読んでいる。一見すると黒人と白人の対比がモチーフなだけに、単…

むだい

研究発表が、まぁとにかく終わり、それほど余裕があるわけでもないとはいえ、ホクホクと本を読む。 フッサールにおける“原自我”の問題―自己の自明な“近さ”への問い作者: 田口茂出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2010/02メディア: 単行本 クリック: 8…

「翻訳と理解」 同僚のM氏が主導となり「翻訳論研究会」を立ち上げた。M氏の関心が、翻訳という行為における創造性、すなわち、ある言語から別の言語への変換において、共有されている(とされる)意味とは異なる何か(それはあらたな意味や情動、あるいは…

Luke Caldwell, "Schizophrenizing Lacan,[Guattari], and Anti-Oedipus," intersections10, no.3,2009, pp.18-27. 精神分析とドゥルーズの関係は、ひとつの大きなトピックである。とりわけ、フランスの精神分析家ジャック・ラカンがドゥルーズに対して与えた…